大島僚太とU23日本代表の間に一体 なにが起きたのか Vol.1
大島僚太に一体何が起きたのか
大島僚太の長所
相手をいなす能力がチームにもたらすもの
- 相手のプレスをいなし、相手のディフェンスを支配できる
- 困ったときにボールを預けられる = チームに落ち着きをもたらす
相手のプレスをいなすとは
今、流行りの戦術にハイプレス(前線の選手が激しくプレスをかける)があります。これは、なるべく相手ゴールに近い位置でボールを奪うことで、ボール奪取後のゴール到達時間を短縮できるというものです。攻撃的な守備ともいいますね。これを仕掛けられたときに一つ目の利点が活きてくるのです。
①日本代表がディフェンスラインでボールを回している時にハイプレスを受け、右サイドバックがボールを持った状態です。相手チームは連動した動きでパスコースを限定していますので、闇雲なロングボールを除けば、唯一のパスコースはボランチの選手へのものだけとなっています。
②ハイプレス戦術は、パスコースを限定し徐々に追い込み、奪えると見れば人数をかけ一気に囲い込みます。この場面、ボランチにパスを出すことを相手チームは読んでいたので、パスが出た瞬間、待ってましたとばかりに日本のボランチを囲い込みます。
③普通の選手ならば囲まれたことに焦ってミスをしてしまい、被カウンターを招く様な場面です。相手をいなす能力を持った選手は、この様に多数人に囲まれた狭いエリアにおいてボールを受け、相手が触れない位置にボールを置き直し(動かし)、パスコースを作り出すことができるという能力を持っています。
「相手をいなす能力」による支配
浅野拓磨や中島翔哉のドリブルとは趣旨が違います。相手を抜くというよりは、相手が触れない位置にボールを置き直すという言い方が適切だと思います。ボールを置き直し、パスコースを作る能力(僕はこれを「相手をいなす能力」と呼んでいます)が抜群に優れているのです。偉大な選手に例えるならば、ジダンやシャビも極めてこの能力が高かったと記憶しています。現在第一線の選手ならダビド・シルバでしょうか。
ボランチの位置でいなされ続けると、相手は前から人数をかけてプレッシャーをかけることがリスクとなるので、ハイプレスという戦術を捨てざるを得なくなります。つまり、相手のやりたい守り方を支配(限定)することが出来るというわけです。
困ったときにボールを預けられる = チームに落ち着きをもたらす
この様な選手の存在は他の選手に対し落ち着きをもたらします。例えば、上述の図説の様にサイドバックの選手が追い詰められた場面や、ボランチへの何気ないパスがミスキックにより多少ズレてしまったとしても、受け手が大島なら少なくともボールを奪われないため、カウンターを食らうことはありません。
多少のミスも許されない状況より、選手たちは平常心を保つことができるでしょう。
また、ボールを奪われず、相手のディフェンスをいなしてパスコースを作れる選手が真ん中にいる時、味方は迷うことなくパスを受けるための動き出しを取れます。ジダンの個人技は世界最高でしたが、それと同時に一緒にプレーするチームメートの能力を相乗的に高める能力を有していたとも言われています。それは、「相手をいなす能力」が極めて高かったことも一つの要因だったと僕は思います。
Vol.2に続きます。