リオ五輪最終予選 イラン戦レビュー ~手倉森采配の意図~

決勝トーナメント組み合わせ

<ブロック1>(日本時間 22日25時30分)
カタール A組1位  2
北朝鮮  B組2位  0
 
<ブロック2>(23日22時30分)
韓国   C組1位
ヨルダン D組2位
 
<ブロック3>(22日22時30分)
日本   B組1位  3
イラン  A組2位  0
 
<ブロック4>(23日25時30分)
UAE   D組1位
イラク  C組2位
 
26日にブロック1と2の勝者および3と4の勝者による準決勝。
29日に3位決定戦、30日に決勝が行われる。今大会の3位までがリオオリンピック出場権を獲得する。

 

決勝トーナメントでの出場状況 

イラン戦 3-0(得点・96 豊川、109,110 中島)
 4-4-2(ダブルボランチ
 
FW 久保(82 浅野)、オナイウ
 
MF 中島、原川、遠藤(113 大島)、矢島(83 豊川)
 
DF 亀川、植田、岩波、室屋
 
GK 櫛引  
 

イラン戦のスタメンとその狙い 

 

イラン戦のスタメンは、何人かの選手が予想とは異なりました。また、交代選手の起用から、手倉森監督の今大会におけるスタンスが見えてきたように感じます。

 

「みなケチ」がしたイラン戦前の予想スタメン

FW  久保  鈴木

MF  中島  大島  遠藤  南野

DF  山中  植田  岩波  室屋

GK  櫛引

 

実際のスタメン

FW  久保  オナイウ

MF  中島  原川 遠藤  矢島

DF  亀川 植田  岩波  室屋

GK  櫛引

 

スタメンを変更した手倉森監督の意図 

鈴木武蔵のケガ

股関節の痛みを訴える鈴木が欠場し、その代役がオナイウとなることは戦前から予想できました。120分走り続けたオナイウは影のMVPだと思いますが、次戦は中3日となるので、鈴木の復調がない場合かなり苦しくなることが予想されます。

 

南野拓実の焦り

ゴールを決められていない南野の焦りは、1発勝負の初戦においてマイナスの要因になるとは考えていましたので、矢島の起用も想定内でした。ポテンシャルは南野に分があるかと思いますが、この大会は南野の大会では無かったのかもしれません。しかし、代わりに出場した矢島も全く見せ場はなく、準決勝は再び南野にチャンスが回ってくるはず。

 

一発勝負でのディフェンス重視

大島ではなく原川を起用した理由は、より中盤で体を張ったディフェンスが出来る点にあると思います。どちらも攻撃的センスに長けていますが、特に高さ・強さをより必要とした手倉森監督の判断でしょう。

 

高さ対策

セットプレー時のディフェンスのために高さを意識した選手起用でもあったかと思います。ご存知のとおり、日本の中盤の選手たちは背が低いです。そんな中、セットプレーでの失点をしたくないという強いメッセージが、今回のスタメンには込められていた気がします。

大島168cm 原川175cm

鈴木185cm   オナイウ180cm

山中171cm   亀川177cm

南野174cm   矢島171cm

 

なにより過密スケジュール対策のローテーション

今大会、日本代表は特にメンバーの入れ替わりが激しいです。イランの選手たちは中3日での対戦だったからか、後半は足が止まりました。

中2日でカタールとで対戦した運動量の豊富さが売りの北朝鮮代表ですら、疲れが見え後半は足が止まっていました。(カタールは中3日)

 

選手のローテーション状況
  • 予選グループリーグ3試合での選手最長プレー時間は180分(櫛引、岩波、奈良、植田)。
  • サウジ戦で80分以上プレーし且つイラン戦で出場した選手は、植田、中島、オナイウの3名のみ。(第2戦のタイ戦で、植田と中島は未出場、オナイウは後半からの出場。恐らく鈴木のケガはタイ戦に負ったものと考えられ、オナイウの出場はイレギュラーか)
  • 交代選手を含め、サウジ戦に長出場出場した選手をほとんど起用していない。
  • 中2日~3日と過密スケジュールが続くなか、予選リーグを含め長時間出場が3戦連続を超えた選手はオナイウのみ。

選手別出場時間一覧(オレンジ色は得点者)

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今後の展望

次戦は、オリンピック出場をかけたうえで最も重要な試合になりますが、手倉森監督は恐らくローテーションを維持するのでしょう。イラン戦で2試合連続出場となった軸となる選手(植田直通オナイウ阿道、2得点の中島翔哉)ですら機械的に休ませてくるのか、采配に注目です。